マンション売却にかかる費用と税金はいくら?申告方法など解説
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マンションを売却する際、税金や手数料などの諸経費が発生します。
これらの費用を把握しておくことは、売却後の資金計画を立てる上で非常に重要です。
また、諸経費の種類や計算方法を理解することで、費用を抑えるための対策を講じることも可能です。
この記事では、マンション売却時に発生する費用について、専門家の視点から詳細に解説していきます。
マンション売る時にはどんな費用がかかるの?
マンション売却時にかかる費用は、大きく分けて以下の5つに分類できます。
- 仲介手数料:不動産会社に仲介を依頼した場合に発生する費用です。
- 譲渡所得税:マンション売却によって利益が出た場合に課税される税金です。
- 印紙税:不動産売買契約書に貼る印紙代です。
- 住宅ローン一括返済手数料:住宅ローン残債を一括返済する際に金融機関に支払う手数料です。
- 抵当権抹消費用:住宅ローン返済後に、マンションに設定された抵当権を抹消する費用です。
これらの費用のうち、特に仲介手数料と譲渡所得税が大きな割合を占めます。
ただし、譲渡所得税は売却益が出た場合にのみ課税されます。
2,500万円でマンションを売った場合の費用
それでは実際に2,500万円でマンションが売れたと仮定して、それぞれの費用を試算してみたいと思います。(購入時の価格は3,000万円)
仲介手数料 | 891,000円 計算式:2,500万円✕3%+6万円+消費税 |
譲渡所得税 | 0円 購入時の価格より売却価格が低いため利益は出ていない |
印紙税 | 10,000円 契約書に添付する印紙代、2022年3月まで軽減税率が適用される |
住宅ローン一括返済手数料 | 5,500円 三井住友銀行インターネットバンキングの場合 |
抵当権抹消費用 | 17,000円 登記1件1,000円(土地、建物)+司法書士報酬 |
小計 | 923,500円 |
このケースでは、諸経費の合計は923,500円となります。
ただし、その他にも引っ越し費用やハウスクリーニングなどの費用が掛かるケースもあるので、予算としては100万円~150万円くらいを見ておくようにしましょう。
売却時に仲介業者に支払う手数料について
不動産会社に仲介を依頼した場合、売買契約成立時に仲介手数料を支払う必要があります。
仲介手数料は、宅地建物取引業法によって上限額が定められており、以下の計算式で算出します。
この計算式は物件の売買価格が400万円以上の場合です。
400万円以下の場合は別の計算式になるので、こちらも覚えておきましょう。
売買代金 | 仲介手数料の計算式 |
---|---|
200万円以下の場合 | 売買代金×5%+消費税 |
200万円を超え400万円以下の場合 | 売買代金×4%+2万円+消費税 |
400万円を超える場合 | 売買代金×3%+6万円+消費税 |
注意点:
- 上記はあくまで上限額であり、不動産会社によっては割引や定額制を設けている場合があります。
- 仲介手数料は、売買契約が成立した場合にのみ発生します。
- 仲介手数料以外にも、広告費用や事務手数料などを請求される場合がありますので、事前に確認しておきましょう。
売却時に税金がかかるケース
マンションを売却したときに掛かる税金について詳しく解説していきたいと思います。
譲渡税(所得税)と住民税
譲渡所得とは、売却価格から取得費(購入費用やリフォーム費用など)と譲渡費用(仲介手数料など)を差し引いた金額です。
譲渡所得に対して、所得税と住民税が課税されます。 税率は、所有期間によって異なり、長期譲渡所得(所有期間5年超)の場合は税率が低く、短期譲渡所得(所有期間5年以下)の場合は税率が高くなります。
計算例:
- 取得費:3,000万円
- 売却価格:4,000万円
- 譲渡費用:100万円
- 譲渡所得:4,000万円 – 3,000万円 – 100万円 = 900万円
この場合、900万円に対して譲渡所得税と住民税が課税されます。
実際には買ったとき以上の金額でマンションが売れることは滅多にありませんので、あまり過度に税金の心配をする必要はないのかなと思います。
3,000万円の特別控除
もし売却によって利益が出たとしても、一定の要件を満たすことで3,000万円の特別控除を受けることができます。
例えば売主が実際に住んでいたマンションを売ることで売却益が出たとします。
- 購入価格:4,000万円
- 売却価格:5,000万円
- 売却益:1,000万円
本来であれば売却益の1,000万円に対して譲渡所得税や住民税が課せられるのですが、条件を満たしていれば3,000万円までは控除されます。
適用要件:
- 売主が居住していた家屋であること
- 所有期間が10年を超えていること
- その他、細かい要件がありますので、国税庁のホームページで確認してください。
印紙税(印紙代)
印紙税というのは売買契約書に添付する収入印紙代だと思ってください。
不動産売買の契約書には、売買価格に応じて添付する収入印紙の金額が決められています。
現在は軽減税率が適用されるので、本来の金額よりお得になっています。
本来の税率 | 軽減税率 | |
---|---|---|
100万円を超え 500万円以下のもの | 2,000円 | 1,000円 |
500万円を超え1千万円以下のもの | 10,000円 | 5,000円 |
1千万円を超え5千万円以下のもの | 20,000円 | 10,000円 |
5千万円を超え 1億円以下のもの | 60,000円 | 30,000円 |
※軽減税率の適用期間は、令和4年3月31日までに作成された不動産売買契約書です。
その他にかかる費用
ここまでは金額がおおよそ決まっているものでしたが、ここからは金額が定まってない出費について説明していきたいと思います。
住宅ローンに関する費用
マンション売却時に住宅ローンが残っている場合、残債を一括返済する必要があります。
この際、住宅ローン一括返済手数料が発生する場合があります。 手数料は金融機関によって異なりますので、事前に確認しておきましょう。
例えば三菱UFJ銀行だと以下のようになっています。
インターネット | 16,500円 |
テレビ窓口 | 22,000円 |
窓口 | 33,000円 |
このように同じ金融機関であっても、返済する方法が違うだけで手数料に差があります。
引越し費用や家具代など
マンション売却に伴い、引越し費用が発生します。
引越し費用は、荷物の量や距離、時期によって異なります。
3人〜4人家族の場合、10万円〜20万円程度を目安に考えておきましょう。
また新居先が賃貸物件だと、敷金や礼金、前家賃などの初期費用も大きな出費になるので忘れずに予算組しておきましょう。
よくある質問
マンション売却時の諸費用に関して、今回紹介しきれなかった部分や、ネットなどで良く質問されている内容などをまとめてみました。
売却時の仲介手数料を安くすることはできる?
不動産売買時の仲介手数料は、宅地建物取引業法によって上限額が定められています。
一般的には「売却価格の3% + 6万円 + 消費税」が上限となっています。
ただし、これはあくまで上限であり、仲介業者はこの範囲内で自由に手数料を設定することができます。 そのため、仲介業者との交渉次第では、仲介手数料を安くしてもらうことが可能です。
買主側には手数料割引サービスを導入している業者が多いですが、売主側も同様に交渉することで割引を受けられる可能性があります。
複数の不動産会社に見積もりを依頼し、手数料を比較検討することをおすすめします。
マンションを売ると税金は必ずかかる?
「マンションを売ると多額の税金を請求される」と思っている方は多いのではないでしょうか。
しかし、税金がかかるのは、マンション売却によって利益が出た場合に限ります。
例えば、5年前に3,500万円で購入したマンションが3,000万円で売れた場合、利益どころか500万円の損失となります。 この場合、譲渡所得税は課税されません。
首都圏の一部を除き、購入時よりも高値で売れるケースは稀です。 そのため、マンション売却によって譲渡所得税が課税されるケースは、一般的に少ないと考えられます。
マンションを売却した時に戻ってくるお金はある?
マンションを売却した際に、お金が戻ってくるケースもわずかながらあります。
- 固定資産税:一括納付していた場合、残りの日数分は買主から徴収することができます。
- 火災・地震保険:未経過分の保険料が戻ってくる場合があります。(全額ではありません)
- 住宅ローン保証料:未経過分の保証料が戻ってくる場合があります。(全額ではありません)
- 管理費・修繕積立金:月額分を日割り計算して買主から徴収することができます。
注意点:
- 火災保険や住宅ローン保証料は、未経過分がすべて戻ってくるわけではありません。35年ローンを10年目で一括返済したとしても、戻ってくるのは支払った額の3分の1程度です。
- これらの費用は、自動的に返金されるわけではありません。ご自身で保険会社や金融機関に連絡し、手続きを行う必要があります。
まとめ
マンション売却にかかる税金は、売却益が出た場合にのみ課税されます。 多くの場合、税金への心配は不要です。
最も高額な費用は、不動産業者への仲介手数料です。 手数料の値引き交渉や、複数の業者を比較検討することで、費用を抑えることができます。
マンション売却で少しでも多くの手元資金を残したい場合は、費用を節約するだけでなく、売却額を高くすることを意識することが重要です。